Power over Ethernet(15)802.3bt(PoE++) – 接続手順|給電期間:PSE 給電全体動作概要

給電期間は「Start-up/ Power on / Disconnection」の 3つのフェーズで構成され、いずれも「電流」で規定されている。もちろん、電圧と組み合わせれば「電力」で規定されていることにもなる。この規定は「ペアセット」ごとに規定され、これをベースに 2ペアを合計した「総電流」を決める形になっている(図1 ペアセット 参照)。タイプとクラスの対応は「図2 クラス別給電」をご覧いただきたい。

図1 ペアセット 参照
図1 ペアセット 参照
図2 クラス別給電
図2 クラス別給電

フェーズによる電流変化の概要は「図3 電流変化」だが、802.3bt ではタイプ別テンプレートで厳密に規定している。テンプレートは「タイプ3」と「タイプ4」で異なる。タイプ3 のテンプレートは「図4 タイプ3 電流テンプレート」、タイプ4 テンプレートは「図5 タイプ4 電流テンプレート」をご覧いただきたい。

図3 電流変化
図3 電流変化
図4 タイプ3 電流テンプレート
図4 タイプ3 電流テンプレート
図5 タイプ4 電流テンプレート
図5 タイプ4 電流テンプレート

PSE には、タイプごとに、守らなければならない上限テンプレート(Upper bound Template)と下限テンプレート(Lower bound Template)がある。上限テンプレートの目的は、PSE とケーブルを過電流から守ることだ。PSE は、電流が上限テンプレートを超える前に電力を遮断する必要がある。下限テンプレートの目的は、PSE が PoE 規格に適合する PD を確実にサポートし、平均電力やピーク電力を保証するためにある。各フェーズでの給電電流は、の領域に収まるように動作するが、短時間であればや白の領域に入ることもある。

この記事を書いた人

岩崎 有平

早稲田大学 理工学部 電子通信学科にて通信工学を専攻。
安立電気(現 アンリツ)に入社後、コンピュータ周辺機器の開発を経てネットワーク機器の開発やプロモーションに従事する。
おもにEthernetを利用したリアルタイム監視映像配信サービスの実現や、重要データの優先配信、映像ストリームの安定配信に向けた機器の開発行い、Video On Demandや金融機関のネットワークシステム安定化に注力した。
現在は、Ethernetにおけるリアルタイム機能の強化・開発と普及に向けて、Ethernet TSNの普及活動を行っている。