給電期間は「Start-up/ Power on / Disconnection」の 3つのフェーズで構成され、いずれも「電流」で規定されている。もちろん、電圧と組み合わせれば「電力」で規定されていることにもなる。この規定は「ペアセット」ごとに規定され、これをベースに 2ペアを合計した「総電流」を決める形になっている(図1 ペアセット 参照)。タイプとクラスの対応は「図2 クラス別給電」をご覧いただきたい。

フェーズによる電流変化の概要は「図3 電流変化」だが、802.3bt ではタイプ別テンプレートで厳密に規定している。テンプレートは「タイプ3」と「タイプ4」で異なる。タイプ3 のテンプレートは「図4 タイプ3 電流テンプレート」、タイプ4 テンプレートは「図5 タイプ4 電流テンプレート」をご覧いただきたい。


PSE には、タイプごとに、守らなければならない上限テンプレート(Upper bound Template)と下限テンプレート(Lower bound Template)がある。上限テンプレートの目的は、PSE とケーブルを過電流から守ることだ。PSE は、電流が上限テンプレートを超える前に電力を遮断する必要がある。下限テンプレートの目的は、PSE が PoE 規格に適合する PD を確実にサポートし、平均電力やピーク電力を保証するためにある。各フェーズでの給電電流は、青の領域に収まるように動作するが、短時間であれば緑や白の領域に入ることもある。