高周波基板設計の基礎(12)まとめ

EMC は、回路設計部門や筐体設計部門だけの問題ではない。組織全体での取り組みが必要だ。ソフトウェア開発部門は、EMC に最適なパラメータ設定やテストモードの準備が必要だ。製造部門は製造性やコスト確認を行う必要がある。品質管理(保証)部門等の全体マネージメント部門が不可欠になる。様々な知見やノウハウの部門間共有も必要だ。

プリント基板、筐体、ケーブルやソフトウェアも「EMC 対応回路の一部」だ。EMC 測定現場での一部部門の局所的対応は危険だ。

図1 開発工程
図1 開発工程

EMC 対応

  • 対応する「EMC 規格」を明確にする
  • 設計初期段階から、EMC 対策を検討し設計に反映させる
  • 回路/部品/プリント基板とパターン設計/ケーブル類/電源/筐体/ソフトウェア は全て EMC の対象
    • 部門間、担当者間の連携、コミュニケーションとマネージメントが不可欠
    • 「よくないシナリオ」を想定した準備が必要・・・・ 「起きてはならないことは起きる」
  • 試作完了後の「現物対応」は困難を極める
  • 問題発生時は、設計に立ち返った机上検討が必要
    •  現場でのランダムな修正は開発期間とコストに問題を起こす
  • 「神は細部に宿る」
    •  目立たない存在だが、抵抗・コンデンサ・インダクタの使い方が EMC や回路品質を決める

この記事を書いた人

岩崎 有平

早稲田大学 理工学部 電子通信学科にて通信工学を専攻。
安立電気(現 アンリツ)に入社後、コンピュータ周辺機器の開発を経てネットワーク機器の開発やプロモーションに従事する。
おもにEthernetを利用したリアルタイム監視映像配信サービスの実現や、重要データの優先配信、映像ストリームの安定配信に向けた機器の開発行い、Video On Demandや金融機関のネットワークシステム安定化に注力した。
現在は、Ethernetにおけるリアルタイム機能の強化・開発と普及に向けて、Ethernet TSNの普及活動を行っている。