高周波基板設計の基礎(9)電磁波ノイズ対策・回路 「部品選択」

部品選択

デジタルIC

  • 最も低速なICを選択する
    4000シリーズ>74HC>74AC>74VHC:高速デジタル IC ほど速度が速く立上りが速い。高調波による放射レベルが大きくなる。
  • 低電圧デバイスを選択する
    電圧変化と電流変化を抑制しエミッションを低下させる。
  • 必要最小限の駆動電流
    必要以上に駆動能力(電流)の高いデバイスを選択しない。
  • IC ソケットを使用しない
    不要なインダクタンスが発生する。
  • オープンコレクタドライバのプルアップ抵抗は、ドライバの近くに配置し、抵抗値を大きくする
    ハイインピーダンス状態は、ノイズの餌食になる。
  • 低エミッションデバイスを選択する
  • 高速デバイスをコネクタやケーブルから離す
    IC 内部のボンディングワイヤー等と近くの金属部との結合を防止する。
  • 全ての IC にデカップリングコンデンサを配置する
    IC の動作保証と電圧変動の抑制。
  • インピーダンスマッチングが取れるドライバ IC を使用
    送信側の反射を抑える。
  • 差動信号ドライバ IC を使用
    コモンモードノイズを抑える。
  • FPGAの設定
    低速、低電力、出力インピーダンスを低エミッションモードに設定。
  • ダンピング抵抗(直列抵抗)を付ける
    立ち上がりを遅くし、反射を抑える。
  • クロック配線は最短かつビアを経由しない
    エミッションの一番の要因。
  • クロックドライバの直下にパターンを通さない
    ベタ GND パターン(ガードリング)を配置。

受動部品

  • 金属被膜抵抗は数100MHz まで抵抗として働くが、巻線抵抗は数 kHz でインダクタになる。
  • セラミックコンデンサは高周波特性が最良。タンタルコンデンサはサージ等でショートモード故障を起こし危険(発煙・発火)。
  • 受動部品は面実装がすでに一般的。リード部品はインダクタンスが大きい。

この記事を書いた人

岩崎 有平

早稲田大学 理工学部 電子通信学科にて通信工学を専攻。
安立電気(現 アンリツ)に入社後、コンピュータ周辺機器の開発を経てネットワーク機器の開発やプロモーションに従事する。
おもにEthernetを利用したリアルタイム監視映像配信サービスの実現や、重要データの優先配信、映像ストリームの安定配信に向けた機器の開発行い、Video On Demandや金融機関のネットワークシステム安定化に注力した。
現在は、Ethernetにおけるリアルタイム機能の強化・開発と普及に向けて、Ethernet TSNの普及活動を行っている。