イントロダクション(1)はじめに

はじめに

2019年にIEEE802委員会で「Ethernet TSN」が承認されました。この新しいイーサネット規格は、IoTや車載ネットワーク分野に今後大きな影響を与える可能性があります。しかし、日本語での紹介や解説情報が極端に少なく、このような分野に携わる方々は、海外の文献やIEEEの規格書が数少ない情報源ではないかと思います。このような状況を少しでも改善し、日本からの製品やサービス提供が進む一助になればとの思いで Ethernet TSN 関連の連載を始めたいと思います。まず初回は、Ethernet TSN 重要ポイントとIoT現場の現状ネットワークの話をさせていただきます。次回以降は、産業用Ethernet、車載ネットワーク関連などの背景の話に続き、Ethernet TSN 技術の詳細について順次話を進めて行きます。

著者紹介

岩崎 有平

早稲田大学 理工学部 電子通信学科にて通信工学を専攻。
安立電気(現 アンリツ)に入社。入社当時は、磁気テープ装置やフロッピディスク装置などのコンピュータ周辺機器の開発を担当。EWS(エンジニアリング・ワークステーション)開発を機に、ネットワーク機器の開発やプロモーションに軸足を移す。1985年にISDN回線を介したダイアルアップルータの開発、1990年に100VG-Any LAN 機器の開発とプロモーションに従事した。イーサネットが 10Mbps から 100Mbps へ世代交代した際に、 100BASE-TX と 100VG-Any LAN が主導権を巡り争った。リアルタイム性を訴求した100VG-Any LAN が敗退し、既存規格 10Mbps との完全互換性を訴えた 100BASE-TX が勝利。
1995年にL3スイッチ(ハードウェア・ルーティング)を開発し、映像などのストリーミングデータ配信を効率的に行う機能を強化。イーサネットとIP multicast による、リアルタイム監視映像配信サービスを実現した。その後、イーサネット上での重要データの優先配信や映像ストリームの安定した配信を実現する帯域制御装置(シェーパ)を開発し、VOD(Video On Demand)サービスや金融機関のネットワークシステムの安定運用を実現。一貫してイーサネットのリアルタイム機能強化開発と普及に携わる。
現在は、Ethernet TSN の普及活動に従事。

この記事を書いた人

岩崎 有平

早稲田大学 理工学部 電子通信学科にて通信工学を専攻。
安立電気(現 アンリツ)に入社後、コンピュータ周辺機器の開発を経てネットワーク機器の開発やプロモーションに従事する。
おもにEthernetを利用したリアルタイム監視映像配信サービスの実現や、重要データの優先配信、映像ストリームの安定配信に向けた機器の開発行い、Video On Demandや金融機関のネットワークシステム安定化に注力した。
現在は、Ethernetにおけるリアルタイム機能の強化・開発と普及に向けて、Ethernet TSNの普及活動を行っている。